Letter From Yosuke


2017年


1月1日|2月6日|2月23日|2月25日|3月23日|4月21日|5月24日6月19日|7月10日|7月31日|9月3日|10月4日|11月2日|12月3日|12月28日




12月28日

2017年もいろいろな出来事がありました。
この人生を生きるに当たって、恵まれた機会を沢山いただけたことに感謝します。

まず自分の自身8枚目のアルバム「GOOD TIME AGAIN」をリリース出来て、
そのレコーディングメンバーでツアーしてと、アーティストとしては理想の形を経験できた事は素晴らしい喜びです。
一つの夢であった、ジャンルの垣根を飛び越え、
これまでの経験から導き出された自分のサウンドの中で√ 自由にベースを弾くということが現実に出来たことは音楽家として最高の経験です。
いつも支えて新鮮な刺激を与えてくれる江藤くん、秋田くん、荻原くんの素晴らしいメンバーに感謝です。
そしてそのCDや配信を担当してくれているポニーキャニオン、
とりわけディレクターの山下さんには長年の理解と尽力に頭が下がります。
その他、レコーディング、ツアーなど、これまでに経験しなかったような形態の活動も経験しました。
その中で自分というものに磨きをかけることのできる素晴らしいものが沢山あったことも
自分という人間は恵まれていると感謝の連続です。
次々と新しい課題も見つかって行くので、甘んじる事なくこれからも精進したいと思います。

レコーディング、ツアーなどパーマネントの活動の貴重な機会を授けてくれた大西順子さん、
カラテチョップスを率いる江藤くん、
ジャズとは違うフィールドに抜擢していただいた、吉田美奈子さん、佐藤竹善さんには感謝しております。
自分のキャパシティを押し広げる貴重な機会になりとても感謝しています。
そして書ききれないほどのアーティストの皆様、僕に声をかけていただき、演奏をさせていただき本当にありがとうございます。
一つ一つが大切な機会です。

そして、なによりも健康、というのはこの数年、毎年体調を崩して発熱が続く日々があったので、強く感じている要素です。
今年は無事に過ごしてきたので大丈夫かな、と思いきや、
歯のトラブルで親不知、そして虫歯の治療で神経を抜くという、立て続けの処置ですっかり参ってしまいました。
食べる楽しみを奪われるというのは人間にとってかくも酷なことなのかと実感しました。
同時にパソコンもマウスが暴走。後半は対応、というのがキーワードでした。
来年は無事に過ごせますように。
たまに冗談で、人の不健康やトラブルを願う方がいますが、自分は絶対にそんな事は言わないでおこうと思いました。

残念なことに、沢山の大切な方がこの世を旅立たれました。
受けた恩を十分に返すことが出来ないままですが、それを後世に続く人々に受け渡したいと思います。
クラークテリーさんのドキュメンタリーを見て、最近僕も同じような心持ちになっていることに気付かされました。
キャリアでは足元にも及びませんが、自分が何かを為す事に加えて、
後進を育て行こうという気持ちが多くなりました。
ちょうど国立音楽大学で教鞭をとって何年もたちました。
育って行く生徒たちすべてが僕には大切な宝物です。自分が花になるよりも土に。
人は波のように新しい者が古い者に取って代わる、
詩人カールサンドバーグはそう言いました。自分という波が海の底で静かになるまで精進していきたいと思います。

追記:今年、何度か共演する機会のあった日野皓正さんに楽屋で、
弾き方がとてもユニークだ。他の人ととても違う、でもそれがあなたの強みだ、という言葉を頂きました。
ユニークな日野さんに言っていただけるなんて。
弾き方に関しては自然にそうなったので自分としては特に変わっているとは思っていないのですが、よく指摘される事です。
おそらく長年のニューヨークの音楽シーンでフィットするように自分なりに工夫した結果だと思います。
立場はだいぶ違って恐縮ですが、イチローさんの気持ちが少しわかる気がします。

以前からライブ会場で時々お会いしてお話もさせていただく村上春樹さんに「GOOD TIME AGAIN」をお渡しする機会があり、
聞いていただきました。とても優しい音楽で、そしてベースの音が良い、という感想をいただきとてもうれしかったです。



12月3日

治療は続くよ、どこまでも。
先月、先々月と、続いた親知らず化膿騒動、ですが、ようやく抜歯することができました。
まだ抜いたあとが少し痛みますし、抜けた部分が違和感があります。
そしてそれをかばって口の中の反対側を酷使したせいか、
今度はそちら側の歯に激痛が。どうやら昔に治療した虫歯のところが欠けてしまったようです。
流動食、それに準じた食事がまだ当分続きそうです。
ご飯が心置きなく食べれるということは幸せなことなんだと思い知らされました。
これは何にでも共通することでしょう。
当たり前だと思っていたことが失って初めてわかる大切さ。
1日、1日を大切に生きていきたいと思いました。

11月には参加している二つのバンドのCDが続けてリリースされて盛り上がっています。
一つはカラテチョップス。ドラマーの江藤くん率いるサックストリオですが、
自由な発想と大きく太いグルーブが魅力です。
新譜の「Yeah!」もそんな魅力が詰まった傑作だと思いますのでぜひ沢山の人に聞いて欲しいです。
もう一枚は大西順子トリオのピアノトリオとしては8年ぶりのアルバムです。
稀代の天才ピアニストが満を持して録音したアルバムは
溢れ出る豊かな音楽と独創的で鮮烈、しかし一方で繊細な面を見せるなど盛りだくさんの内容です。
このグループに参加できて録音が残せたことに誇りを持ちます。
同時に録音されたバラードアルバムも相互に補完しあうような内容で2枚で一つの作品でもあるようです。
そういう意味ではマイルスのFour&Moreとマイファニーバレンタインを思いまします。

こぼれ話を一つ。
大西順子4デイズ@新宿ピットインの2日目の高橋信之介くんリードのトニー・ウィリアムス特集の日のための
準備をトリオの面々で準備して、譜面も自分たちで音源を元に作成して。
主に信之介くんと順子が頑張ったのですが、僕も何か役に立ちたいと思い
トニーのバンドメンバーだったビル・ピアースさんにメッセージを出してコードのことなど質問しました。
面識もない僕に親切に答えてくれたビルさんには本当に感謝です。
そしてなんと、アイラコールマンさんにトニーの手書きの譜面のコピーを手に入れてくれて
それをこちらに送ってくれました。
トニーの手書きの譜面を目の当たりにすることができるなんてジャズを志すものには感激。
そして本番の録音も聞いていただき、大いに励ましていただきました。
真剣に追求するものに対して真摯に答えてくれるジャズマンの心意気を感じた体験でした。

さて、今年もあっという間に師走です。本当に1年経つのがあっという間です。
健康に気をつけつつ、皆様の元に良い音楽を届けられるように走り続けたいと思います。


11月2日

あいたたた!
長年放置していた親知らずが化膿してしまい、顔が半分、こぶとりじいさんのように腫れ上がり
高熱が出て、さらにいっときも痛みが治らなくなってしまいました。
それは10月の北海道から戻った日。
とても演奏できる状態でなく、以後、多方面にご迷惑をかけてしまいました。
遡る事何十年、まだニューヨークに住んでいる頃に親知らずの存在を発見。
しかし、アメリカでの歯の治療は莫大な費用がかかる上に、顎の骨を削らなくてはいけないとのことで
少々の痛みは我慢しようと思ってそのままにしていました。
そして痛みは一時的に消えてしまって、その存在も忘れかけていました。
突然の痛みに、なぜ抜いておかなかったのかという後悔の念が浮かんできましたが
それもかき消されるぐらいの猛烈な痛みです。
結局、大学病院の顎口腔科に行き3日間の点滴でようやく痛みが和らぎましたが
放っておくと炎症部分が広がりトンデモない事態になるとお医者様に散々脅され
腫れが引くまでは安静を言いつけられました。
そして激痛に耐えながらの食事の日々。
全く咀嚼ができなくなってしまったので流動食でしばらくしのぎました。
その中でも処方箋で買える栄養ドリンクはかなり優れものでした。
ようやくこのところ普通に食事ができるようになりましたが
改めて普通に食事できる健康な身体でいることのありがたさを感じております。

浜松ジャズウィーク、名古屋ブルーノートと挟間美保さんのm-unitというラージアンサンブルに参加させていただきました。
既存のジャズという枠を押し拡げるイマジネーションの豊かさと、それを見事に作品に仕上げる手腕には脱帽です。
演奏するにはいろんな角度からの難度がありましたが、それを納得させるだけの音楽のクオリティを感じました。
機会あればまた演奏してみたいと思いました。

歯が痛くなる前、大西順子トリオの北海道ツアーはレコーディングメンバーでは初めてのツアー。
レコーディングした曲も、レコーディングの時からさらに成長を遂げて今後の展開がとても楽しみです。
CD発売とともに各地でのライブが今からとても楽しみです。

日々、寒くなってきました。とにかく、みなさん、お体に気をつけて!


10月4日

あっという間に10月です。あれ、あけましておめでとう、と言ったばかりのような気が。
いや、春は?夏は?秋は?今が秋か。
北海道に今、ツアーで来ているのですでに冬の寒さです。
冷たい空気は浮かれた心を戒めるのには最適です。
9月は自分のカルテットのCD発売記念ツアー第三弾東北編があってまたまた楽しい思い出が増えました。
カルテットもとてもいい感じに熟してきたようです。何事も円熟というのがキーワードになってくるこの頃の自分です。
東北のみなさんの温かい心に音楽を受け止めていただき、いつもに増して、よく頑張った子供のように嬉しいです。
僕がCDでやろうとしていた平易な言葉で深いことを表現できたら、というものがだんだん世の中にも浸透して
もしかしたら自分も何か世の中の役に立っているのではないかという錯覚にも似た喜びを得ています。
奇しくも村上春樹さんにいただいた川上未映子さんとの対談の中にも同じようなことが述べられており
なんだ、春樹さん、同じじゃないか、というこれまた勘違いにも似た喜びを得ています。

さて話は前後しますが、9月の初めに大西順子さんのトリオのレコーディングに参加しました。
このところの活動も共にしている成果も表れていると思いますが
ドラムに高橋信之介くんを迎えて、素晴らしい内容の録音ができました。
深いピアノのタッチが、それこそ円熟を表しているように
映画を見ているような豊かな音の風景が移りゆく、そんな音楽が録音出来ました。
この秋はその他の参加作がたくさんリリースされますので是非聞いてみてください。

日本橋のホールにて「音楽のたび」主催の子供達のためのコンサートのリーダーを務めました。
子供達に少しでもジャズの楽しみを、といろいろと工夫して準備しました。
当日では思ったよりもずっと子供達が楽しんでくれている様子にとても感激しました。
最後はステージに詰め寄った子供達と握手やハイタッチ。
共演してくれた秋田くん、荻原くん、はましょうくんの素晴らしいサポートに
彼らの人間的な魅力を再認識しました。
今後も機会あればこういう活動もしてみたいです。
まさに僕たちの「音楽のたび」は続きます。


9月3日

夏もあっという間に過ぎ去って行きました。
今年の夏は例年とは違い、晴れ間の少ない、不思議な気候でした。
まるで地球が何かを訴えたいかのようです。
人間の振る舞いに対して何かを警告しているようでもあります。
そんな中、短い間ですが晴れ渡るハワイを訪れました。
南国ながらカラッと乾いた心地よい風が吹き渡る楽園。
今回はハワイの歴史についても触れる機会があり、人々の知られざる歩みに触れることが出来て勉強になりました。
有史に学ぶのが一番大切だととある企業の社長もおっしゃっていました。

ハワイ旅行の前後にもやりがいのある仕事に恵まれて、感謝の日々です。
甘んじることなく音楽家としての成長を心に誓います。
ところで先日、都内のライブハウスで演奏していたら呼び止める紳士あり。
よく見ると村上春樹さんでした。
たまたま近所で川上未映子さんとの対談の本を出版されたとことで名前を見て足を運んでくれたようです。
たくさんお話もさせてもらい、もったいなくも対談の本もいただき
お礼にと自分のCDを差し上げたところ、僕のサインを春樹さんにするこいうことに。
生きていると不思議なことがたくさんあります。



7月31日

少し遅くなりましたが、7月16日に無事に53歳の誕生日を迎えることができました。
その日はツアー中の龍野クラシック・アネックスのチャペルにて自分のカルテットのコンサートでした。
誕生日の日に自分のライブを行うこと自体、初めての経験でしたが
その日は、休憩時間にお客様とバルーンを飛ばしたり、ケーキの差し入れがアンコール時にあったり、
打ち上げではフラダンスチームの素敵なダンスがあったりとサプライズの連続でした。
龍野クラシックのスタッフの皆様、お客様、バンドメンバーなど、たくさんの気遣いが身にしみました。
そして天候が荒れ模様で、演奏中に雷鳴がとどろき、豪雨に見舞われるも
休憩、打ち上げなど、野外に関するイベントの時は晴れ渡るなど、天も味方してくれて
忘れられない1日となりました。皆様、本当にありがとうございます!
ツアー中も各地で祝っていただき、人生の喜びの極みを味わいました。
人間とは人と交わってこそ人間であると思いました。
ツアーもおかげさまで各地で盛況をいただき、関係者様の皆様には本当に感謝しております。
そして何より、どんどん音楽そのものを成長させてくれる素敵なバンドメンバーには最大の感謝を捧げたいと思います。
誰一人欠けてもこの楽しさは実現することができません。陰に日向にいろいろ支えていただきありがとうございます。
そして、僕の音楽を気に入ってくれて、応援してくれる全国の皆様の声援がどれほど心強いか。
今後とも精進していきますのでよろしくお願いします。
改めて、この歳まで元気で活動できる丈夫な体に産んで育ててくれた母には最大の感謝を。
最近、よく思うこと。
特に、幼馴染や、懐かしい顔に再会するときなど。
誰がどのように成功して、誰がどんな地位を得ているかということよりも
みんながその場で元気で集っているということの方がはるかに大切で尊いこと。



7月10日

吉田美奈子さんのツアーが無事に終了しました。
ジャズのフィールドとは違う活動を3ヶ月に渡ってさせていただきましたが、
音楽を愛して真剣に演奏すると言う意味では、ジャズもポップスも関係ないということがよくわかりました。
あるのは真剣に聞き手のために心を込めて演奏する心があるかどうかです。
そのための日々の準備を怠ってはいけないと思いました。
各地で音楽を渇望している方々にたくさん出会えたのも大きな宝物になりました。
そして何よりも、素敵な美奈子さんと森くんと真剣に音を出し
そしていろいろなことを語り合い、たくさん喜びを分かち合えたのは大きな宝物です。
関わっていただいたみなさまに感謝申し上げます。

とてもいい流れをいただいて7月7日の新宿文化センターでのカルテットのコンサートを行えました。
たくさんのお客様に来ていただき嬉しかったです。ありがとうございました。
メンバーのみんなもとても僕の信念を理解してくれた演奏で感激しました。
次はツアーが待っていますがこの流れに乗って演奏したいと思います。
みなさま、どうか今後ともよろしくお願いします。


6月19日

吉田美奈子THE TRIOのツアーが大詰めを迎えました。
今回、誘っていただいて参加することでとても多くのことを学ばせていただきました。
ジャンルを超えた音楽そのものに向き合う時間はとても貴重で
そんな3人が3人でしか生み出せない音楽を目指し日々演奏する。
そこには邪念もエゴも入る隙のない、しかし人の心に届かせることのできる音楽。
そんな、理想的とも言える音楽の面影を追った3ヶ月でした。
そして音楽というものを根本から捉えることのできる文化の成熟というものも必要と感じました。

各地では色々な方、幼馴染、などなど、再会も。そして新たな出会いもたくさんありました。
音楽が人と人とを結びつける、そんな音楽そのものの力も感じるツアーでした。
この経験を生かしてますます、懐の大きい、魂を揺さぶるような音楽を演奏していけるように精進しますので
どうぞよろしくお願いします。

今年のNBAファイナルはGSウォーリアーズの圧勝でしたね。レブロン、残念。
3年連続の同じ組み合わせでした。来年はどうなることやら。


5月24日

本当に久しぶりにソロコンサートをやりました。
連休最後の日曜日、5月7日に埼玉県立近代美術館にて。
美術館らしい響の長い部屋に助けられて気持ちよく演奏できました。
普段のライブとは違い一人になる場面しかない状況がずっと続くのですが
自分の奥底にあるものの全てと向き合える機会があって楽しかったです。
以前にも2度ほどソロコンサートはやりましたが、今回が一番自然に演奏できました。
技術、構成、音楽性、そしてそれにも増してエモーショナルな部分を見つめ直す機会にもなりました。
たくさんの人に聞きに来ていただいてありがたかったです。
また機会があれば挑戦していきたいと思います。

ゴールデンウィーク前から大西順子トリオの大阪と名古屋でのまとめてのライブでは
このトリオの新しい方向性が見えてとても面白かったです。
活動を初めて1年が過ぎましたが、同じメンバーで掘り下げていくレギュラーグループの重要性を感じました。
一過性のセッションの面白さもありますが、音楽シーンをよくするにはこういった志高いレギュラーグループの活動が重要です。
自分たちのカラに閉じこもらないように気をつけなくてはなりませんが。

5月4日には新宿ピットインにて辛島文雄を偲ぶ会がありました。
辛島さんが生前やられていた活動を共にしたメンバーとその日に飛び入りに来てくれたメンバーで演奏しました。
ゲストには日野皓正さん、そして辛島さんの代役を務められた石井彰さん、素晴らしい演奏でした。
これにて僕が辛島さんと共に旅をしてきた音楽の冒険はひとまずおしまいです。
文字通り、いろいろなところに行き、いろいろ経験をさせてもらい、いろいろな話をして
その中からしか生まれない数々の演奏が心の中に刻まれています。
これからはそれを胸に一人で歩むのかと思うと寂しいです。
しかしもっと良い演奏ができるように精進していきますので
どこかで聞いているかもしれない辛島さん、見守っていてくださいね。

そして吉田美奈子さん、森俊之さんとのツアーが続いています。
各地で多くの待ち望んだファンが美奈子さんの歌声を聞くのを楽しみにしています。
そこに参加させてもらって多くのことを学ばせていただいています。
美奈子さんは即興性を大切にされているので
演奏が日々、変化していきます。
その成長記録を体験させていただいているようなツアー。
今後のスケジュールもとても楽しみです。


4月21日

吉田美奈子さん、森俊之さんとのThe Trioがツアー中です。
3月の末からリハーサルに入り、4月の頭からスタートしております。
ご存知のように吉田美奈子さんは日本のポップス界を支えてきた重要人物。
しかし音楽の高みに向かってひたすら活動を続けてきている至高の人物です。
森さんとは久々の今額活動となりますが、同郷の同世代とあって共通の知人も多く
育ってきた音楽環境もよく似ており、音楽に対する考え方にたくさん共感する部分があります。
このお二人と毎日、真剣勝負の演奏をして全国をツアー中です。
普段、ジャズのライブだけでは気づかないような繊細な部分、
染み入るように歌詞に寄り添う部分など、とても勉強になります。
そしてお二人ともオープンな心で普段から接してくれるのでとても楽しいです。
ツアーは7月の1日のブルースアレイまで続きます。
ぜひ、本物の音楽を体験したい方は聞きに来てください。
僕自身もツアーを通して成長できることを楽しみにしています。
ツアーの合間に自分のカルテットのライブも行います。
これも先月のツアーを通して磨きをかけられたレパートリーの演奏をお聞かせできると思いますので是非!
音楽とは不思議なもので、同じメンバーで同じやり方をやっていてもだんだん変化してきます。
人間というものが行う楽しみや意味もそのあたりにあるのではないかと思います。
常に音楽というものを探求している過程の中での演奏をお聞かせしていることになりますが
それはそれで良いものではないかと、最近は思えるようになってきました。
皆様にもその成長する音楽を楽しんでもらえたら幸いです。


3月23日

ようやく春の気配が感じられるようになってきました。
3月の頭からは、いよいよCD「Good Time Again」の発売記念ライブとツアーでした。
おかげさまで、各所ともたくさんのお客様に来ていただき、心に残るツアーとなりました。
ありがとうございました。
東京公演でもたくさん来ていただき、徐々に僕たちの奏でる音楽が
皆様の賛同を得ているのだという実感を得ることができました。
音楽家にとって、お客様とのつながりは、最終的には自分たちの出す音にかかっていると覚悟して演奏しております。
今後とも精進して磨きをかけていきますのでよろしくお願いします。
次のコンサートは4月28日に二俣川のサンハート。
ツアーで進化したバンドのサウンドを楽しんでいただけたらと思います。

今回、岡山のルネスホールでのコンサートを企画していただいた藤原さんがライブの直後に亡くなられてしまいました。
物静かですが、音楽に対してはピリッとした意見を持っていた方で、
僕の音楽も応援していただいて、いつもたくさんのお客様を読んでいただき
岡山の音楽シーンに多大な貢献をしていた方でした。
コンサート当日も残念ながらお会いすることはできませんでしたが
藤原さんに届けと精一杯演奏させていただきました。
ご冥福をお祈りいたします。

続いて行われた大西順子トリオの東北ツアーも充実の時間でした。
音楽に対してジャズに対してとても真摯で謙虚なリーダーの吸引力で
だんだんと高みに到達していく演奏は他のグループではなかなか味わえないものでした。
若い山田玲くんのドラミングも毎回驚きの進化で推進力をもたらしてくれます。 どの会場も満員で、お客様の方の期待の大きさを物語っていました。
トリオも1年間活動を共にしてきて、その期待を裏切らない演奏ができたのではないかと思います。
これからの活動がますます楽しみです。

やっと暖かくなって体も楽になってきました。冬は苦手です。


2月25日

追悼 辛島文雄
ジャズにこだわりジャズの演奏での評価にこだわった信念の人。
豪奢で磊落な反面、繊細で気遣いの心を持つ人。
一流のミュージシャンとは何かという美学を教えてくれた人でした。
エルビン、トニー、ジャックという最高のモダンドラマーと渡り合えたピアニスト。
長い闘病生活から解放されて2月24日、旅立たれた。安らかにお眠りください。ありがとうございました。


2月23日

今月は演奏よりも取材が多くて、たくさんお話をさせていただきました。
ラジオから聞く自分の声は未だにどうも好きになれませんが、拙いなりに一生懸命伝えたい事を話しました。
アルバムに込めた思い、というものを中心に話しますが
聞き手によってもいろいろと引き出しをあけていただく事ができて
改めてhなす事を生業としている方々を尊敬します。
演奏の方では久々の大西順子トリオは素晴らしく刺激的でした。
山田玲くんの成長が頼もしく、これからの日本のジャズ界を引っ張って行ってくれる事でしょう。
レパートリーもこのトリオとしては新しく昔のレパートリーを取り上げたりして
バンドもお客様にとっても新鮮なライブとなりました。
闘病中の辛島さんのライブは辛島さんが体調の悪い中、セカンドセットの途中まで
魂から絞り出すような、それでいてみずみずしい音を出していました。
ジャズに命をかけた男の生き様をしっかりと目に焼き付けました。
いよいよ、自分のCD発売ライブ、ツアーと続きます。
一期一会の心を忘れないように演奏したいと思います。


2月6日

新年が明けて一ヶ月が経ちました。
皆様の新年はどのようなものでしょうか?
僕は新年明けてからは少し時間があり
大阪の母を訪ねたり、ゆっくりと充電する時間を得ました。
その一方でライブ活動が日常に戻った時に
その1日に使うエネルギーの消耗量の多さに改めて驚きました。
こんなにたくさんのエネルギーを使うことを毎日やっているのかと。
現在は肉体的、精神的にもクタクタの日々です。
しかし、やはりライブというものは特別なもので
その日にしか生まれない音楽、そして人々の中に流れるバイブレーションのようなものが、
人生においてはとても大切なもののように感じます。
このようなリアルな体験というものも世の中的にはどんどん減少して行っているように感じる今こそ
音楽家は頑張って良いライブを続けていかなければと思います。
このあたりのことはCD「Good Time Again」発売に伴い数々のインタビューをいただいた中で
熱く語っているので是非チェックしてみてください。

先日、僕が講師を務める国立音楽大学の卒業試験がありました。
設立して間もないジャズ専修コースですが、今年初めてベース科から卒業生が巣立っていきます。
入学前からの付き合いとなりますが、4年間の大学生活を通して悩み、苦しみ、時には喜びもあり。
その中で指導をするということはこちらにとっても重圧の仕事で、
果たして良い方向に導けているのかいつも自問自答の日々でした。
しかし、卒業演奏を聴いてその疑念も吹き飛ばしてくれるような素晴らしい演奏で、
誇らしい気持ちにしてもらいました。ありがとう。これからが本当の人生の本番です。
言葉ではうまく伝わらなかったけど、人の心に寄り添うような温かかくて力強く、勇気を与え、微笑みを導く、
そんな僕が理想としている演奏でした。
他の卒業生もそれぞれが自分というものを最大限に表現していて素晴らしいパフォーマンスでした。
こんなムードにしていただいた先生方々、スタッフ、そして在校生、卒業生、みんなの努力で、
素晴らしい学校に作り上げたのだと感動しました。来年度からも尽力を惜しまず頑張ります。

アメリカでは歴史転換とも言える大統領の交代があり、世の中はどんどん反知性の方向に向かっているような気がします。
というよりは知性があまりにも権威と結びついて人々の不満が噴き出したように思えます。
これからは利権を求めてのずる賢い駆け引きをすることが通じなくなるかもしれません。

恩田陸さんが直木賞を受賞しました。とても好きな作家だったのでとても嬉しいです。
同じ歳なんですね。江國香織も同じ歳でなんとなく通じ合うものを感じます。

つらつらといろんな思いを感じる日々ですが、
何と言っても自分の演奏と奏でる音楽をもっともっとよくしていくのが自分の最大限にできることだと
肝に銘じて日々精進していきますのでよろしくお願いします。
3月から始まるCD発売記念ライブ、ツアーもどうぞよろしくお願いします。



1月7日

みなさま、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年も、真摯に音楽に向き合い演奏していきたいと思います。
新しいアルバム「Good Time Again」も皆さんに楽しんでもらえますように。
時代の潮流が大きく変わって行こうとしています。
皆さまの元に幸せが届きますように。


Letter From Yosuke2016へ