練習法


基礎

音楽は言葉を喋ることとよくにていると思う。ボキャブラリーが増えればそれだけ表現力がつく。でもいざ喋る時に誰も文法がどうのこうのと考えないように、演奏も自然にいろんなフレーズが出ることが理想。そのために基礎練習がある。ここではより完璧な基礎が自然にできるように僕が毎日やっているものを紹介する。

左手のポジションを正確にするための練習。これらはピチカートと弓を両方やると良い。

●基本的なスケールはなるべくゆっくり音程が確かめられる速度でシーケンサーに打ちこんだものとあわせて弾く。スケールとアルペジオを全部のキーで毎日。

●今度は8小節ずつ変化させたメジャー(マイナー)コードをシーケンサーで鳴らしたものに合わせて速いスケール、アルペジオのほか、考えられるあらゆるパターンを弾く。

●今度はコードを7thやディミニッシュなどにしたものに合わせてスケールとアルペジオ。

シーケンサーで打ち込む時にハイハットでアフタービートを打ちこむと実際の演奏状態に近くなる。練習でも実際の演奏でありえる事を想定した練習をやる事が効果的。

●僕が基礎練習でよく使うオリバーネルソンの「パターン・フォー・ジャズ」の中から10個ほどパターンを選んで練習。ディミニッシュのパターンなどは実践ですぐに使えるものが多い。これも出来ればシーケンサーなどに打ちこんだものと会わせてひく事が望ましい。

●バリー・ハリスのところに習いに行くとまずやらされる課題。マイナー6thとディミニッシュのアルペジオの交代を上がったり下がったりする練習。トニックとドミナントの交代の訓練。これを全キーでやる。またメジャーでもやるとなお良い。ビバップを体で理解するのにも役立つ。下の譜例を参考にして下さい。



随時更新して行きますのでお楽しみに

応用

より実践向けな練習。

●ジェイミー・エイバーソールドという人が出しているマイナスワンシリーズは曲の量と質が充実している。しかも有名ミュージシャンが演奏していて、実際に一緒に演奏しているような気分にさせられる。これを利用しないてはない。

●それを利用して、まずはベースのウォーキングを演奏してみる。ピアノとベースがステレオで左右に分けられているので、ベースだけ消す事が出来る。一緒に演奏したものを必ず録音して聞いてみること。各音符の粒立ちとリズムが安定しているか、ドラムとのコンビネーションは好いかなどをチェックする。意外と実際演奏している時とあとで録音して聞いてみたときでは印象が違う事が多い。それらが一致する事が望ましい



教則本

●シマンドル;言わずと知れたクラシックのコントラバスの教則本の代表。基本的な運指を効率よく確実に覚えられる。VOL1とVOL2があってVOL2ではハイポジションについて詳しく学べる。ソロワークには欠かせない。

●「The Improviser's Bass Method」Chuck Sher;この本のなかのウォーキングベースラインの作り方はとても参考になる。他の教則本では見られないあらゆる角度から掘り下げてあってワンパターンのベールラインなどで悩んでいる人には特にお薦め。

●「Inside Improvisation Series」Jerry Bergonzi;Vol1〜4まであってそれぞれ1.Merodic Structures 2.Pentatonics 3.Jazz Line 4.Melodic Rhythmsとなっている。Vol1はいかにミストーンのないアドリブを出来るようになるかという問題に即効性のある練習が徹底的に解説されていて、コードトーンの把握に大いに役立つ。手グせで染まったアドリブで悩む人にも解決策になると思う。Vol2〜4もそれぞれ今までにない斬新な切り口の練習。やればやるほど効果のでるシリーズ。

●「Pattern For Jazz」オリバー・ネルソン;実際にアドリブで使えそうなパターンが連続しているものの練習。実践向きなのが好いが使いすぎるとメカニカルにアドリブがなってしまうので注意が必要。



トランスクライブ(コピー)

どんな偉大な人でも最初は真似る事から始める。そう言う意味ではトランスクライブ(以下コピーと呼ぶ)は最も効果的に学ぶ方法。

●最初は出来るだけシンプルなものを選んだ方が良い。といってもなかなか簡単なものというのは無いけど。難しいところは簡単にしてしまうという手もある。

●出来るだけ曲全部をコピーする。そして目標はレコードなどに合わせてそっくり弾ける事。微妙なニュアンスも捉える事。全体を通しての感覚も養われるので是非曲全部をコピーして見よう。なりきることも時には大切。そこから徐々に自分なりの個性というのは生まれてくる。

●誰かに最初は絞るとだんだんその人の音楽の作り方がわかるからよい。ちなみに僕はアコースティックではポール・チェンバースに始まって。ロン・カーター、エディ・ゴメス、ミロスラフ・ビトウス、デイブ・ホランドという順番にそれぞれ数十曲ずつ曲全部をコピーしたものです。もちろんその間浮気は沢山しましたが(音楽の)。エレクトリックではジーン・シモンズ、ルイスジョンソン、スタンリークラーク、マーカスミラー、ジャコパストリアスという節操のなさ。あとジェームスジェマーソンとチャックレイニーは文句無くいつも研究の対象です。どうしてあんなにグルーブするんでしょう。

●ベースだけでなく他の楽器のも良くコピーしたり弾いたりする。得にベースという楽器のソロはまだまだ発展途上なので色々取り入れられる可能性が残ってる。さすがに全部そのままと言うわけには行かないが、チャーリー・パーカーのコピー集「オムニブック」のなかからはけっこう一杯練習した。アルトの音域はベースと似ていて弾きやすい。コルトレーンのも練習した(これは今でも)。その他ビルエバンス、マイルス、キャノンボールアダレイ、等など手当たり次第です。

マル秘(と言うほどでもない)ワンポイントレッスン

あまり本などで紹介されていないけど多分実践に必要な事を早く見につけられるように自分で考えた、もしくは人から聞いた練習方法やアイデアなどを紹介します。思いついたままなので順番はばらばらになるけど許してください。

●アコースティックベースでジャズを演奏しているとどうしても弓を弾く機会が少なくなりがちです。かといって色んな理由でクラシックの先生に習う事ができない人もいるかと思います。出来れば最初、形ができるまでは本当は先生についたほうが好いんですが、自分でもできて悪い癖のつかない方法を紹介します。
なんと言っても弓で一番難しいのは長い音符を綺麗な音で同じ大きさで弾く事です。これが出来ればあとはなんでも出来るようになるでしょう(そんなに甘くないか)
とりあえず鏡を自分の前に立てることです。そして弓がまっすぐに弦に対して垂直になっているかチェックしましょう。理想は弓を動かしても弓が弦の同じ地点を通過してしかも波打たない事です。それには次のような練習が結構効果的です。
●左手で弓の先の方を持ちそれを上から弓の弾くところの弦の位置に当てます。そして弓を弦に対して垂直に保ちながら固定します。その固定された弓を右手でなぞるようにして左右に動かします。これが弓の動く軌道です。これを体で覚えれば弓が波打ったりしなくなり、音も綺麗に安定してくるようになるでしょう。もちろん右手の弓をつかむかたちも重要ですのでこれは本など見て研究してください。

リズムは音楽の命です。もちろん正確であれば言いというわけではないですが、正確なリズムは相手を心地よくさせて一緒に演奏していて気持が言い条件の一つです。特にジャズやファンクでは重要なので是非身につけましょう。

●メトロノームと一緒に演奏しているとずれないのに実際の演奏では人とずれてしまうなんて事はありませんか。実は正確なリズムに合わせることが出来だけでは心地良いリズムとは言えません。むしろ人に合わせ過ぎないで正確なリズムを人に提供してあげると言う発想の転換が必要です。

●僕はその練習にシーケンサーを使います。まず4小節単位で例えばジャズのシンバルレガートを打ちこみます。そして次の4小節間は丸まる空白を打ちこんでおきます。それをループさせると4小節はリズムがあって4小節はブレイクとなります。これに合わせてベースラインを弾いて見ましょう。そうすると空白のあとにドラムがハイいてくるところとぴたりと合えば自分は正確なリズムを演奏していることになります。色んなドラムパターンで練習すると効果的です。さらに空白を8小節16小節と増やして行きましょう。長いほど難しいですがより効果的です。

みんなが悩むジャズのノリ。その基本は8分音符にあるのですがスイングビートにおいて8分ははねるのかどうかと言う問題はみんなを悩ませます。はね具合を自由にコントロールする練習をすると、落ち着いたリズムをある程度獲得できます。

●まず均等に分けられた8分音符の練習をスケールでも何でも良いのでします。
次に完全にはねた8分音符の練習を同じようにします。
それが出来たらこんどは均等なのとはねたものが混ざったものを練習します。例えば最初の2拍ははねて次の2拍は均等なものをスケールなどで練習します。この時か必ずメトロノームにあわせたりドラムマシーンのシンバルレガートに合わせたりしてください。どうです?少しはジャズらしくなるでしょう。あとは色んな組み合わせを考えて練習するのみです。それにアクセントを色んな所につける練習をすると、もう完璧。実はこの8分音符のはねかたの組み合わせがミュージシャンの個性になっている事が多いようです。

日本人には親しみがあるようでなかなか馴染みのないラテンのリズム。シンコペーションが多かったり、頭でリズムが始まっていなかったりするため、ドラムとあわせるのが難しかったり、リズムキープが難しかったりして悩みの種になりがち。

●そこでまずは楽器を置いて、右手と左手によるリズムの交差の練習をして感覚を身につけましょう。

●まずはラテンのリズムの基本であるクラーべ(ここでは2−3を使います)を体に叩き込みましょう。左手で練習してください。

●次に基本的なベースラインとなるリズムを右手でたたきます。左手はクラーべをキープします。これですでに気分はずいぶん出るはずです。右手のパターンを小節をまたいでタイで結ぶとより本格的になります。

●次にあげる例は「チュニジアの夜」などでも使われているパターンの基礎となるシンコペーションです。これを左手のクラーべといっしょにやると…かなり気分が出るでしょう?

●左手のクラーべを3−2にしたり、右手のパターンを色々と変えてみたり、自分で工夫するとさらに世界が広がるでしょう。このリズムの交差する感覚は身につけるとベースを弾くうえでも役に立つ事このうえなしです。

随時更新して行きますのでお楽しみに


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