Letter From Yosuke


2022年


1月29日|2月28日|3月30日|4月30日|5月30日|6月30日|7月31日|8月31日|9月30日|10月30日|12月29日|



12月29日

激動だった2022年も終わろうとしています。
振り返れば色々な良いことも悪いこともありました。
コロナ禍が終息したわけではないですが、イベントやライブなど
仕事という面では回復傾向にあり、それぞれが気をつけつつ
お客様にも沢山来ていただけるようになり、
演奏の場が過去2年よりも大幅に増えた事で
演奏者や、それを支える音響、照明、コンサート企画やスタッフの
活動の場が戻ってきて、ようやく苦しい状況から脱しつつあります。
それまでに持ち堪えられなかったところもあり
手放しで喜ぶことはできませんが
その方達の分まで頑張らねばと思います。
一つ一つの現場に感謝しながらの演奏の日々が続きます。

その反面、ウクライナをめぐるロシアとの対立が激化して
大変な数の犠牲者が出ていることに心を痛めます。
なぜ今、ここでそんな争いをしなくてはならないのか
理解に苦しむことも沢山あります。
早く、平和な日々が戻ってくることを祈るばかりです。

2022年の初めにはNHKの朝ドラの音楽を金子隆博さんが担当したこともあり
沢山の劇中の音楽に携わることができました。
朝イチにも出演させていただいたりと
コロナ禍の状況にあっては活動の場があったことに感謝します。
それによって少しでもジャズや僕の活動に興味を持ってもらえたこともありがたいことです。

また長年の親友ともいうべきタップダンサーの熊谷和徳くんと
ニューヨークで活躍しつつも暴漢に襲われてから
奇跡の復活を遂げたピアニストの海野雅威くんとのトリオで
ブルーノートでライブができた事も思い出深い出来事です。
同じ空気を同じ時期に吸ったものでしか通じえない何か。
そんなものを感じながらも今の自分を存分に表現できることに
大きな喜びを感じました。

自分のトリオの活動も途絶えることなく続けてきた成果もあって
音楽的にも大きく飛躍できました。
メンバーのピアニストの武本和大くんとドラマーの濱田省吾くんには
大きな感謝をしてもしきれません。
ライブの現場にもお客様に沢山きていただけるようになり
トリオとしての確実な歩みを感じます。
ツアーはもちろんのこと生まれ故郷の大阪、豊中でのFM-cocolo
のイベントに
素晴らしいボーカリスト、Akikoと出演させていただいたり 岐阜でコンサート開いていただいたりと
まるで春を待つ野花が雪の下で耐えた後に
大きく花ひらくようにのびのびと演奏できる環境になってきたことに感謝です。

またトリオのアルバム「Next Step」が皆様の協力により
アナログ盤としてリリースすることができました。
自分としては初めてのアナログ盤。
素敵なターンテーブルをとある方に譲っていただき
聞いた時の感動は忘れることができません。
自分が若い頃に心躍らせていたあのアナログ盤の音で自分達の演奏が聞けたのです。
沢山の方にその感動を味わってもらえたことにも感謝します。

そして2022年のハイライトとも言うべきは
8月にあのレジェンド・ドラマー、スティーブ・ガッドさんと共演、ツアーにも同行することができたことです。
これまたクラリネットの巨匠、リチャード・ストルツマンさんと奥様のミカさんが
親交の深かったチック・コリアさんのトリビュートアルバムを製作したことがきっかけで
日本ツアーが実現したのですが、
日本から僕とピアニストの塩谷哲くんが抜擢され
それは深い深い、音楽体験をさせていただくことできました。
プロデューサーの八島敦子さんに深く感謝します。
音楽の道を志してからずっと憧れ続けてきたドラマー、スティーブ・ガッドさんと
こんなに密に音楽を演奏できる日が来るなんて、
ひたむきに真面目に音楽に向き合ってきた事を見ていた
音楽の神様からのご褒美としか思えません。
ツアーの最初から最後まで変わらぬ紳士で深い愛情で接してくれた
ミカさん、リチャードさん、スティーブさん、本当にありがとうございました。

そして9月から始まったDandyism Banquetというコンサートシリーズ。
こちらはバイオリンの巨匠、古澤巌さんと俳優の山本耕史さんがメインとなり
それを音楽監督の塩谷哲くん、ギターに小沼ようすけくん、パーカションに大儀見元さんという
個性あふれる面々で、コンサートとも演劇とも違う独特の新しいエンターテイメント、
そんな今まで誰も見たことがない世界を作り出しています。
こちらの方も毎回、工夫を重ね、回を追うごとに新しい世界が開ていきます。
あの、大河ドラマなどで見ていた山本耕史さんと
こんなに密になってパフォーマンスすることになるとは夢にも思いませんでしたが。

そして今年は参加することができた佐藤竹善さんのクリスマスツアー。
もう9年目となるこのツアーは竹善さんの歌の素晴らしさはもちろんのこと
アレンジ、コーラスなど多岐にわたって持てる力を全て注ぐもの。
今年はピアニストに関西時代からの盟友でもある青柳誠さんが加わって
ぐっと骨太のサウンドになりパワーアップ。
早速来年も同じメンバーで行うことが決定したほど充実したものでした。
今まで応援してくれていたけど、コロナ禍で来れなかった人たちにも
希望と勇気を与えることができたなら良いのですが。

その他、ここでは書ききれないほどの沢山の音楽のプレゼントを
沢山の仲間たちからいただきました。
関わってくれた全ての人たちに感謝です。

さて、もう一つ。
誰に頼まれたわけでもないのですが、ずっと続けてきたSNSでの朝の投稿。
大体は少しユーモアを交えてのものでした。
コロナ禍が始まった2020年の6月から少しのブランクはありましたが
閉塞感に満ちた社会に少しでの安らぎや緩和をもたらすことができればと
続けてきましたので、ほぼ2年半に渡るものとなりました。
意見、ふざけているようにも見えますが、
誰も傷つけたり、蔑むことのないようにと最大限に気を配り
なんとかその日を明るい気分で過ごしていただきたいと思い続けてきましたが
社会が通常通り動き始めた頃から、その想いよりも
ネタの出来不出来に対するコメントが増えてきました。
ということは本来の役目である意図は終了したのと思い
突然ですが打ち切りとさせていただきました。
元来は面白いものが好きなので時折は投稿するかもしれませんが
ライフワークとしては2年半は十分だと思います。
楽しみにしてくれた皆様に本当に感謝します。
きっかけはフランクルの著書「夜と霧」にインスピレーションを受けたものです。
よろしければ是非、ご一読ください。
過酷な状況においてユーモアというものがどれほど重要かを
本当に過酷体験をしたものでしか語りえないリアリティーで
しかしどこか希望を持って書かれています。
世の中が不穏な状況に一筋の光を見出せるかと思います。

今年いただいた沢山の応援や励ましに甘んじることなく
2023年も良い音楽を作り出せるように邁進していきますので
どうぞよろしくお願いします。




11月30日

あっという間に年末ですね。
コロナ感染症の状況もよくわからなくなってしまっていますが、
気を付けつつも活動する方向になって来ました。
とは言え、身近には感染して症状も悪くなっている人もいるので
気をつけるに越した事はないと思います。

さて、長らく延期や縮小が続いていた各地での大きなコンサートやライブが
徐々にですがここに来て復活して来ました。
昨年はお休みした佐藤竹善さんのクリスマスツアーも今年は復帰して、
この数年行けなかったところにも行きます。
今年は昨年参加予定だったピアニストの青柳誠さんも病気から復活して参加。
バンドにグルーブと活気を与えてくれています。
さらに男性コーラスにも積極的に参加してくれてより力強いサウンドになっています。
ツアーも8年目を迎えてレパートリーも増えて来ました。
そもそも僕がこのツアーに参加するきっかけになったのは
1枚目のインディーズから出たものに参加とプロデュース、編曲を担当した事でした。
その中の「Winter Wonderland」は自分の人生の中でも特に印象深いもの。
竹善さんの意向を汲み取りながら大胆なアレンジを施したものが
ツアーのハイライトの曲に成長したことをとても誇りに思います。
人生はさまざまな出会いがありますが、その後もさまざまに変化していきます。
その中でも変わらないもの、大切なもの、大事にするもの。
それを感じ取ることができるのが幸せなのかと思います。

数年前、コロナ禍から始まった社会に蔓延する不安感は
その後、戦争など、連鎖するように不安を煽る出来事が続いています。

今一度、今、音楽家が考えなくてはならない自分達の役割をしっかりと認識して、
人々に勇気と希望を与えるような演奏をしなくてはならないのではと思います。

寒くなってきて、忙しい日々が続くかと思いますが体調には気を付けて。

追伸、いつまで続けるのかよくわからない毎朝のSNSへの投稿をご覧いただきありがとうございます。




10月30日

今月も激動の日々でした。
まずは自分のトリオのライブが都内であり、
その後、ツアーに行きました。
コロナ禍で長く苦しいツアー事情でしたが、
久しぶりに活気のあるツアーとなり
どこも以前の賑わいを取り戻して来たように思います。
コロナ禍の間もトリオの活動を続け音楽的にも成長することができたので
その成果を皆さんに届けることができてよかったです。
徐々にですが、活動の幅も広がって来たのも
メンバー各自の努力の賜物だと思います。
誠実に音楽に接することの大切さを改めて感じました。

そしてDandysim Banquetの浜松公演があり、
その後、ゆっくりとじっくりと山本耕史さんをお話しすることができたのも
自分にとって貴重な経験でした。
違う世界のトップランナーとして生きる人の意見に耳を傾けることも勉強になります。

そして相棒コンサートが4年振りに開催されて、
なんと水谷豊さんにお会いすることができました。
こちらも間違いなくトップランナー。

さらには浜松ジャズウィークにてウィリアムス浩子さんのコンサートにゲストで
春風亭昇太さんをゲストに迎えてのステージでした。
その日もじっくりと昇太さんを囲んでお話しすることができて
またまたトップランナーの息吹を感じることができました。

久しぶりの渡辺香津美ジャズ回帰トリオも先月に続きあり
嬉しいリユニオンでした。こちらはさらにゲストに吉田美奈子さん。
久しぶりの共演に心が震えました。

自分の年齢を考えると残された時間、出来る事の数は限られていますが
その中で、いかに質の高い、中身の濃い時間をどう過ごすかのヒントになりました。

その他、世間にそれほど名前は知られていなくても一流の人たちが僕の周りには
沢山います。
人間は人間と関わることで磨かれていくのかもしれません。

P.S.ブルーノ・マーズを東京ドームに見にいくことができました。
最高レベルの歌と音楽と踊り。
シンプルなステージでしたが現代最高のエンターテイメントでした。




9月30日

怒涛の8月が終わったと思ったら、怒涛の9月が始まりました。
9月から古澤巖 × 山本耕史 Dandyism Banquet tour 2022が始まりました。
これは今までに体験したことのない、演劇と音楽が一体となった夢物語です。
それだけに色々な苦労もありますが、そこは百戦錬磨の強者たち。
そして山本耕史さんの湧き出るようなアイデアに刺激を受けて次々と新展開に。
すでに東京、名古屋、大阪と公演がありましたが、
やるたびに進化しています。
今回も音楽監督の塩谷くんも大活躍。
これだけの個性派が揃うとまとめるのも大変だと思いますが
各人を活かしたアレンジで見事にまとめています。
先日、僕は山本耕史さんに演技の指導もいただき、ある意味貴重かも。

9月は自分のトリオのライブがなかったのですが
素晴らしいセッションがいくつかありました。
その中でも恒例になってきた平倉初音(P)ジーン・ジャクソン(DS)のトリオは
アルフィーをベースとしてかなり盛り上がってきたのでレギュラー化するかもしれません。
日本では優れた若手ミュージシャンが沢山シーンに登場してきて
初音ちゃんもその一人。
ジーンとの共演に刺激を受けて素晴らしい演奏を繰り広げてくれます。

もう一つはピアニストの田中菜緒子さんとのトリオです。
こちらはドラムスはハマショウくんですが、
レギュラートリオとは違ったエレガントな味わいが特徴のサウンドです。
こちらも11月にナルで再演することが決まっており注目です。

レギュラートリオの方は単独ではなく、レジェンドボーカリスト、伊藤君子さんの伴奏で演奏しました。
いつものトリオサウンドに伊藤君子さんの歌声が乗ってご機嫌なサウンドでした。

そして、久しぶりの渡辺香津美ジャズ回帰トリオ。
地位も名誉も関係なく、ひたむきに音に向かう素敵な男達の熱いサウンドに
思わず目頭が熱くなりました。
やっぱりこのメンバーでないと!

そして4年ぶりの相棒コンサートも開催。
相棒の作曲家の池さんに声をかけていただき
沢山のシーズンのテーマを演奏させています。
あ、なんとなくジャズっぽいな、と思ったら僕です。

さあ、10月、さらに良い音楽目指して邁進します。

追伸

皆様の応援のおかげで僕のYouTubeチャンネルの登録者が3000人を超えました!
最初に公開したのは2015年のカルテットのものですが、その後長らく放置していて、
2020年にコロナ禍に入ってからアップロードを始めたので実質は2年半での達成です。
コロナ禍に入ってパフォーマンスも制限されて、ライブを観たくても見れない方のためにと思い、
ライブの動画を主に公開してきました。
またジャズを聞いたことない方や、ライブがどんな感じかも知りたい方のためにも役立つと思い公開を続けてきました。
今でも感染症の脅威が去ったわけではありませんが、人々との関わり方も変わってきており、
随分とライブシーンも復活してきてホッとしております。
多くの方を苦境に追い込んだこのコロナ禍の記録としても貴重なのではないかと思います。
その間にライブに足を運んで応援してくれた方々には本当に感謝しております。
この動画が、ライブシーンの復活へ役立つとように願って今後も少しずつですが更新していきますのでよろしくお願いします。
引き続き井上陽介チャンネルをよろしくお願いします。
井上陽介YouTubeチャンネルです。登録、拡散、シェア大歓迎です!
井上陽介YouTubeチャンネル




8月30日

終わりそうで終わらない感染症の状況は大きくは変わらずです。
行動する人、控える人、それぞれに自分で判断して正しいと思える事をやるしかなさそうです。

そんな中、さまざまなイベントはなんとか開催されております。

自分にとっては大きな意味を持つチック・コリアさんへのトリビュートシリーズが無事に開催出来たことは大きな意味を持つものでした。

まずはミューザ川崎にてチック・コリアさん自身の手によるオーケストラとジャズ6重奏団のためのスペインの組曲を演奏しました。
大変意欲的な編曲をオーケストレーションによる素晴らしい作品です。
チックコリアさんゆかりのミカ・ストルツマンも加わっての演奏でした。
さらに日を変えて、Sprits Of Chick Corea Bandの番外編として
ミカ&リチャード・ストルツマンさんに高橋信之介君を加えてのステージ
そして先日のジャズ六重奏団にボーカリスト、宮本美季さんとウィリアムス浩子さんを加えてのステージでのコンサートでした。

どちらもチック・コリアさんの豊かな音楽性に刺激を受けた刺激的な演奏となりました。
出演者の皆様の素晴らしい演奏はもちろんのことです。

そしていよいよ本格的なSprits Of Chick Corea Bandとして
ミカ&リチャード・ストルツマンさんはもちろんのこと
ドラムにあのスティーブ・ガッドさん、そしてピアノに塩谷哲くんが加わり
まずはリハーサルから行われました。

物心ついた頃からずっと聴いていた音楽に必ず重要人物として参加していたあのスティーブ・ガッドさんと共演させていただくということで
最初は大変緊張しましたが、リハーサルの曲が進んでいくに連れて、
深いリズムとグルーブに乗せられるように楽しく演奏できるようになっていき、
これが世界の頂点に立つ人の真の実力なのかと思いました。
スティーブさんも一緒に演奏するのが大変楽しいと言ってくださり、
それはツアーが終わるまで一貫した姿勢でいてくれたので、嘘でもお世辞でもないことが伝わってきました。
これは僕の音楽人生の中でも大変勇気付けられる出来事でした。
特にベーシストとして、日常的に、常々どこかに自分の演奏はこれで良いのか、
どうなのかということを自問自答しますが、
あの、スティーブ・ガッドさんが良い、と言ってくれるのだから間違いはないのではと、
自分に少しは自信を持っても良いものだと思える出来事でした。

これも全てはミカさんがみんなを引き合わせてくれたおかげです。
彼女の音楽にかける情熱と、人を一人ひとり大切にする姿勢が彼らの信頼も得て
チック・コリアさんという人物への敬愛から結束をもたらしてくれました。
塩谷くんとスティーブ・ガッドさんとのトリオで演奏できる曲もあり
それはそれは夢のような時間でした。
全く無駄な音のない、それでいてしっかりと音楽の一部をなすプレイ。
音量も絶妙で、決して他の楽器の音が消えてしまうことのないコントロール。
シンプルなグルーブの時に発揮される推進力。
ダウンビートの深さと重さ。
数え上げるとキリがありませんが、全てにおいて一級品のプレイと一緒に演奏できたことは自分の宝物となりました。
10日ほど朝から晩まで、食事も一緒という生活でしたので、
いろんな参加作のエピソードや印象なども質問しまくりましたが
一つ一つ丁寧に答えていただきました。

また、もう一人のレジェンド、リチャード・ストルツマンさんとの共演も感慨深いものでした。
大阪音楽大学作曲科に在住していた頃に出会ったメシアンという作曲家の作品
「世の終わりのための四重奏曲」に出会い衝撃を受けたのですが
それを演奏していたのがリチャード・ストルツマンさんが所属するタッシというグループでした。
ピアノは夭逝の天才ピーター・ゼルキンさん。
そのメシアンの曲を演奏するために結成されたグループですが
現代音楽をあんなにリアリティを持って演奏できる実力と表現力にすっかり魅了されました。
リチャードさんからはメシアンさんや武満徹さんの逸話などをたっぷりと聞きました。

何よりも、今回のツアーで、一人ひとりがエゴを捨てて
グループの音楽がどのようにしたら最上のものになるか
その一点に集中し、心を合わせて演奏できたことです。

この経験を活かし、今後の演奏活動に役立てるように
いや、きっと役立つと信じて皆様に良い音楽を届けたいと思います。




7月31日

春ごろからコロナ感染症の状況が落ち着き始めたかと思いましたが
なかなか、収束には向かわず、また広がりを見せています。
知り合いのミュージシャンにもかつてないほど感染している人が多く
今は、どこでどういった場面で罹ってしまってもおかしくないのかもしれません。
ただ、世界的に見ると、自粛の方向にも向かわず、
症状を軽く見ることはできませんが、もう普通に過ごした方が良い
そんな風にも見受けられます。
まだまだ油断は禁物ですが、できる事をできる人が淡々とこなしていくしかなさそうです。
とはいえ、外出すればそれだけ感染の確率も上がるので
人の集まるライブに来てくださいとは言い辛いのも事実です。
こういった中、どうやって気持ちを切らさずに音楽を演奏していくか、
2年半にわたる経験と照らし合わせて乗り切ることが重要です。
もちろん、感染した方は十分に注意してお体をお大事にしてください。

さて、念願の「Next Step」アナログ化計画が
皆様の多大なるご支援のおかげで制作が決定しました。
今回はパッケージオーダーという、いわばクラウドファウンディングのような形で
一定の予約の方が集まれば制作が決定するというもの。
その一定の人数に達したのが締め切りの日というスリリングなものでしたが
音楽を愛する皆さまの心意気を感じました。
僕自身も自分のアルバムをアナログで出すのも初めてですし
その温かい音が聞ける日を楽しみにしています。
オーダー製のプロジェクトなので、CDのようにライブ会場に持っていって
演奏後に売るということはできませんが
なんらかの形で皆さまの手に渡っている姿を見てみたいものです。
そして、僕自身もターンテーブルを買わなくては!

そして7月16日には58歳の誕生日を迎えることができました。
もう還暦手前ですが、これまで元気に活動できる丈夫な体に産んで育ててくれた
母には感謝してもしきれません。
また今まで支えてくれた、家族、友人、関係者、そして音楽を愛する皆さま
その支援がなければ今まで演奏活動をやってこれたかどうかわかりません。
特に、ウッドベースでジャズを主に演奏している活動においては
世間で言う大ブレイクというものとは無縁ですし
決して明快に分かり易い音楽とも言えないかもしれません。
それでも、ひとたび人の心を掴んだら離さないような魅力に満ちた音楽で
その、発散される魔力のようなものを信じて演奏し
それが伝わった時の喜びは他では味わえないものかもしれません。

だんだんと活動の中心、創作の中心を自分のトリオやプロジェクトに
集中していくようにシフトを始めています。
思えば人生の大半を過ぎて、いろんな事をやってきましたが
時間はあっという間に過ぎてしまいました。
なるべく、自分のベストを尽くしてこの先は活動したいと思います。

世間では暗いニュースも多く、とんでもない悲劇もたくさん起こっております。
そんな中で、人々の心を明るく照らし
辛い時は一緒に歩む伴侶となり
勇気と希望が持てるような音楽を演奏できるようにこれからも邁進します。
どうぞよろしくお願いします。




6月30日

井上陽介トリオのツアー、第三弾、中国、九州、四国編も無事に終了しました。
ご協力いただいた関係者の皆様、応援してくださる皆様、
お越しになったお客様、全てに感謝申し上げます。
そしてハードなスケジュールの中、
クリエイティブな姿勢を崩さずに最後まで真摯に音楽に向き合ってくれた
素晴らしいトリオのメンバー、武本くんと田くんには最大の感謝を。
全ての会場で予想を上回るご来場でした。
中には3年ぶりにライブに来ました、という方も多数いらして
完全では無いけど、ようやく安心してライブ会場に来てもらえる日が来つつある事を確信しました。

それにしても良く食べ、よく笑ったツアーでした。

その勢いのまま、都内でのライブも楽しいものに。
ここでも関係者の皆様、お越し頂いた沢山のお客様に感謝。
皆様に支えられて活動しています。ありがとうございます。

井上陽介トリオのアルバム「Next Step」のアナログ盤化計画も
順調にエントリーして頂いている方が増えています。
予約して頂いた皆様、本当にありがとうございます。
あと一息です!

パッケージオーダーと言う形式で、予約が目標枚数に達すると実現化されます。
CDには未収録の曲や別テイクも収録されます。
エントリーは7/12まで。皆様の応援をよろしくお願いします。 詳細は井上陽介トリオ「Next Step」アナログ化実現計画まで
来月は誕生日を迎え、58歳に。
あと少しで還暦?
色々とびっくりです。
でも元気に活動できている事、
素敵な仲間や応援してくれる人がいることに改めて感謝です。




5月30日

井上陽介トリオのツアー第二弾、上越、東北、北関東編が無事に終了しました。
コロナ禍が始まって、ようやく制限なしにライブができるようになりました。
もちろんまだまだ油断は禁物ですが、ようやく通常のライブの形に戻ってきました。
そのせいか、人々もたくさんきていただけるようになり、会場も活気が溢れるようになりました。
むしろ皆さん、待ち望んでいたかのようにも感じました。

都内や関東近郊のライブでも同じような事を感じます。
そんな中で演奏できる事のありがたさを噛み締めました。

さて、お知らせとお願いです。
井上陽介トリオのアルバム「Next Step」のアナログ盤化計画の募集です!
パッケージオーダーと言う形式で、予約が目標枚数に達すると実現化されます。
CDには未収録の曲や別テイクも収録されます。
エントリーは7/12まで。皆様の応援をよろしくお願いします。 詳細は井上陽介トリオ「Next Step」アナログ化実現計画まで

世界では色々と悲しい出来事が続いています。
こんな時こそ音楽が人々の心を癒す重要な役目を果たすときです。
音楽家の皆様、どうか力を合わせて良い音楽を届けましょう。




4月30日

今年も井上陽介トリオのツアーが始まりました。
今年で四度目の全国ツアーですが
過去2年はコロナ禍の影響で中止や延期、
その後は時短や酒類の提供なしなどの中で行われてきたので
今回は久しぶりに通常の時間帯でのライブの開催となりました。
関西、中部と3カ所ですが無事に終えて
お客様の多くが、久しぶりにライブに来ました、という方がいらして
徐々にですが元に戻りつつあることを実感しています。
それでも急に感染者も激減するわけではないので
できるだけ用心して、皆が気をつけての開催です。

自分も57歳、今年は58歳になるのでそろそろ音楽家人生の集大成の時でもあります。
都内も含めて自分のトリオやプロジェクトを中心に活動していくことが目標でもあったので
現在の状況は望んだ通りとも言えるかもしれません。
社会全体から見れば、一介のジャズベーシストは地味な存在だと思います。
それでも、演奏を楽しみにしてくれる方たち、応援してくれる方たちが沢山いることで
どれほどの勇気をもらい、創造力になっているか言葉で言い尽くすことはできません。

コロナ禍から通常に戻ったとはいえ、活動自体が元に戻ったわけでなく
また、この数年で活動の形態も変化してきたことで
僕自身の活動も変化していくと思われます。
とにかく質が高くて、楽しめるもの、そして人々に勇気と活力を与えられるような
何よりも、平和を願う心を保ち続けられるような音楽を演奏していきたいと思います。

5月半ばからは三週間、上越、東北、中国、四国、九州とツアーして回ります。
お近くの方は是非、生の演奏に触れて、思い出に残る人生の大切な一ページにしていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。




3月30日

ようやく落ち着いてきたかに見えるコロナ禍。
そんな最中に始まってしまったロシアによるウクライナ侵攻。
どういうふうな結末を迎えるのかが全く見えない状況が続きます。
どんな理由があるにせよ、他国を武力で侵略し、多くの人の命を奪う。
これに正当な理由を付けることはできません。
そんなシンプルなこともわからない人がまだいるなんて。
そのことに驚きと恐怖を感じます。
人類は一体何のために世界で会合を開いたりしてきたのでしょうか?
その努力が無駄になり、歴史が逆戻りしてしまうのかと思うとやりきれません。

思えば渡米した1991年にソ連が崩壊して、同じ英会話学校のソ連からきた生徒たちが
私たちの国が無くなってしまったと嘆いていた姿を忘れることができません。
結局その後も世界中では武力による闘争が止む事はありませんでしたが
それでも世界は少しずつ協調しあってきているようにも思えました。

特にニューヨークに住んでいると、世界中のあらゆる国からジャズを演奏しに
アメリカにやってきて音楽で一つに繋がる様子を見てきました。
ジャズを通して人が結びつく素敵な様子を何度も目撃しました。

それはコロナ禍にあっても失われることの無いもののように思われ
音楽というものの力をとても嬉しく感じたことでもあります。

もちろん、アジア人のヘイト、黒人の人権問題などが浮き彫りになる事件もあり
全てが上手くいっているとは言えません。
ただ、国家間での武力の侵攻というものが今起きていることが信じられません。
そしてそれは、いつどこで起こっても不思議ではない事も証明してしまいました。

どうか、早くこの戦争が終わりますように。
戦争にあるのは敗者のみです。


さて3月は大変色々な演奏の機会をいただいた月でもありました。
特にタップの熊谷くん、ピアノの海野くんとのトリオの公演は
長年の親交によるものだけではなく
お互いが歩んで培ってきた今のパフォーマンスを共有出来たことに感動しました。
ご存じのように海野くんは暴漢に襲われて大怪我をしてからの復帰であり
その間の努力は計り知れないものがありますが
演奏は大きな愛情に満ちたものであり
またアメリカのトップクラスで活躍できるだけの納得の行く実力者であることを
ものすごく自然体で感じさせてくれました。
熊谷くんも驚くべきテクニックを駆使しながらも
タップダンスの表現の可能性に挑戦していて
その動きの美しさに魅了されました。
お二人とも普段の様子はどちらかというとホンワカしているところも
アメリカにいても自分らしくあっていいのだという自信の現れとも感じました。
それはまさに僕がアメリカで活動していた時に感じていたものでもありました。
そういった多様性と寛容性がアメリカや海外の素敵なところでもあるのですが。

どうか世界がその多様性や寛容性をもう一度取り戻してもらいたいと願わずにはいられません。
そのためにも日々の演奏を大切にしていきたいと思います。




2月28日

2月は新型コロナのオミクロン株の感染拡大の恐れからキャンセルになった仕事も多かったです。
その行方も不透明なままでの活動が続いています。

井上陽介トリオはその中で久しぶりの御茶ノ水ナルでの演奏を。
ホームグラウンドのように思ってきた場所での演奏に
帰って来れたという気持ちでいっぱいになりました。
そしてもう一箇所の定期的に活動している大塚グレコ。
両日とも佐山雅弘トリオビンテージでレパートリーにしていた
ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーを演奏しました。
佐山さんのアレンジは全曲をなるべく省略せず
ピアノパートも原曲を活かしたものにしてあります。
そいうことはピアノパートを演奏するのはかなり大変なことでもあります。
それを見事にこなしてくれる武本君の熱意と努力に拍手。
そしてこのトリオならではの新しさをもたらしてくる濱田くんにも拍手。

ライブハウスでの演奏はあまり沢山はこなせない状況ですが
NHKの朝ドラのカムカムエブリバディの録音に沢山参加したことで
作曲家の金子隆博さんに誘っていただき
「あさイチ」という番組に生出演して生演奏させていただきました。
トランペットとボーカルに日本のサッチモこと外山善雄さんも参加。
インターネット時代にあってテレビのメディアの力が衰えたと言われるこの頃ですが
なんとも沢山の方から反響をいただきました。
ドラマの方も大好評なようで、まだまだテレビの力は大きいと感じます。

そして渡辺香津美さん、須川展也さん、奥村愛さんとストリングスの皆様によるコンサートも
何年か越しに無事に開催されました。
ここではジャズやクラシックなど様々なジャンルに対応しなくてはならず
特にクラシックの経験はそれほど無いのですが、
みんなで弦楽器のアンサンブルを奏でる時の感動は
幼い頃から親しんできたオーケストラのサウンドを
自らの手によって奏でられる幸福感に包まれました。

話は前後しますが、親友と呼べる数少ないミュージシャンの一人、三好”3吉”くんの
バースデーライブに参加できたことも思い出深い一日になりました。
なにせピアノが塩谷哲くん、ドラムが則竹裕之くんという、これまた親友であり
旧友でもある二人なので、僕にとっては友人フェスティバルでした。
先輩の仙波さんのパーカッションも流石としか言いようがなかった楽しい夜でした。

さて、そんな中、あるかもしれないと恐れられていたロシアによるウクライナへの侵攻。
理由はどうあれ、武力によって自分の要求を押し通す所に正義はありません。
これでは武力に勝り、核兵器を保有している所の要求が優ってしまうだけです。
そんな社会では平和も成り立ちません。
当然、罪なき犠牲者が出ることになり
その犠牲は一体なんのためかもわからず
それによって得たものは薄っぺらい利権でしかあり得ません。

それを今の時代にわからないとは呆れます。
絶対に許されるべき問題ではありません。
このことにより、各国が武力を補強し、核兵器を備えることになれば
なんと殺伐とした世の中になるでしょう。
もはや芸術は心に響かなくなり
演奏する意義も失われることでしょう。
そうならないためにも戦争反対の心を保ち
人々のために音楽をやること
そしてそれを人々がどう受け止めるかが問われています。

人類はまさに岐路に立たされていると思います。
自分はどうするのか、一人一人が考える時です。






1月29日

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。

新型コロナ感染症も収束に向かっていると思われた年末でしたが、 
ここに来て新しいオミクロン株による被害が予想を上回る勢いで、新たなる試練を迎えています。
2年間もコロナ禍によって振り回され続け、人々の心も生活も疲弊しているだけに、受けるダメージは大きいものかと思われます。
今回は感染のスピードが今までとは違い、広まるスピードも範囲も幅広いようです。
これまで得た感染対策も役に立っているのかどうか確信が持てないまま、再び人流を抑えるしか手立てが無いようにも思われます。

日本以外の国では被害がもっと大きいにも関わらず、新たな対策として日常生活を元に戻す決断をした国も沢山あります。
今回のオミクロン株の特徴としては重症化しにくいと言うところに賭けているのかと思われます。
この辺りは特に柄の違い、思想の違い、人生観の違いなどを感じますが、いずれにしても医療への負担が減るわけではありません。
その辺りをどう解決するのかは国策に関わる事ですが、今ひとつ決定力を欠くこの国の姿を露呈してしまって、
過去のみんなで苦しみを耐え抜くと言う考えに戻るしか道を示せていないようにも思います。
だからと言って、この先、どうなるのかも誰にもわからず、結局はコンサート、ライブ、イベントなどは延期、中止、と言った選択がなされる事が多いです。

その中で出来ることは何か?
またもや道無き道を歩むエンタメ業界です。

不要不急なものとして取り扱われがちですが、なんとか打開策はないかと思います。
実際のところ、コンサートやライブが感染拡大につながっているのかどうかと言う検証もなされていないままです。
だからと言ってリスクはゼロで無いのも確かです。
技術の進歩により、配信ライブと言うものも随分と増えてきましたが、それも全ての人に恩恵が行くほどにはなっておらず、今後の在り方が注目される段階です。
そもそも生のパフォーマンスと画面を通して見られるものには大きな差があり、音楽も、その場で聴く感動と比べるものがありません。
無理矢理に今、元に戻すことには賛同出来ませんが、感染症の対策を万全にしてなんとかライブパフォーマンスを届ける方法はないのでしょうか?
皆が自問自答するところです。

また医療に負担のかからない流行り病のように飲み薬などが普及すれば、雰囲気も変わってくると思います。
また年齢による人生観も違っており、何年か我慢して通り過ぎるのを待つ余裕がある人もいれば、もう人生の一分一秒も無駄に出来ない人もいます。
僕はどちらかといえば後者に属するようで、今の気力も体力もあるうちにベストな演奏を聴いてもらいたいとは思います。
記録に残すのも一つの手立てではあります。
今まで得たものを伝えていくのも一つの使命かとも思います。

今、出来る事にベストを尽くす。
本当は常にそうあらねばならないのに、そこに立ち戻る機会をまたもらったのかも知れません。

今後どうなるかわかりませんが、よりよき世界となりますように。





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